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プロローグ

産業革命がもたらした鉄の文明を終わらせなければ地球は破滅する

この写真は、練馬区役所の12階の窓から撮った写真です。遠くに新宿副都心の高層ビルがみえます。延々と鉄とコンクリートの塊が連なっています。人影は確認できませんが、この中に数百万人の人々が働き、生活しているはずです。

こっちは、池袋方面です。スカイツリーが遠望できます。
この写真に映る光景は、まさに東京という日本の首都に住む私たちの日常です。この光景を異常だと感じたり、恐怖を感じたりする人はまずいないでしょう。緑の生い茂る原野から60年ほどの間に、鉄とコンクリートの光景に変えられてしまったのです。人類の歴史から観ればほんの一瞬のことです。おびただしい量の鉄とコンクリートが作られ建造物として組み込まれることでこの光景は生み出されたのです。使われた石炭や石油などの化石燃料とそれに費やされた酸素、排出された二酸化炭素の量は想像を絶する莫大な量になってしまいました。
 このように鉄とコンクリートの中で人々が日々生活することで、また、おびただしい量の化石燃料の消費と二酸化炭素の排出が行われているのです。
ここは東京ですが、地球規模でいえば、この様な鉄とコンクリートが敷き詰められている光景はすでに地球上いたるところに出現し、今なおすごい勢いで広がっているのです。この現実こそが地球環境破壊の根源であることは誰も疑いようのない事実なのです。しかし、現実には誰も止められません。おそらく、今後国際社会がどの様な警告を発し対策を協議しようとしても効果的な対策をとることはもう手遅れでしょう。
私は、人類の活動が地球環境を自らの生存を脅かすまでに破壊してしまっていること、それを人類は人類自身によって止めることができないばかりか、すでに手遅れになっているということを人々に伝えたいと思うようになったのです。

このホームページでは人類が鉄を獲得しそれをどのように加工してきたか、それを止められず、大規模な鉄の生産による地球環境破壊が一方通行の不可逆的な悪循環にすでに陥ってきてしまったことを明らかにして行きたいと思います。言い換えると、人類の叡智は人類の生存を脅かす人類の活動を止められない、ということを明らかにすることです。
もし、万に一でも、期待して仕方がないのですが、希望があるとすれば、現在地球を支配しているホモサピエンスという地球人類の消滅の後、再び地球に知的生命体が出現するかもしれないと言う希望でしょう。しかし、その後には、やがては太陽が膨張して地球は灼熱の惑星になっていくでしょう。そのとき地球の知的生命体は地球脱出に成功するでしょうか?手塚治虫の描く『火の鳥』の世界はそれを見事に表現しています。

これからこのページでは次のようなことについて検討してみたいと思います。
鉄と人間の生活
1 鉄の性質

2 鉄の利用

3 鉄の生産の歴史

4 鉄の加工の歴史

5 鉄が生み出した負の遺産


宇宙の歴史と鉄と人間の存在

1 人体と鉄

2 宇宙の歴史と鉄

3 人類と地球の未来